奥津:旅の主役が相撲取りとは、まず目を引く。勧進相撲のために相撲取りが駕籠と馬で興津川を渡る図。あまり体格がいいとは言えない四人の駕籠かきの淡々とした表情とうずくまるようにして乗るあんこ型の関取の穏やかな表情とが印象的。右後ろの駕籠かきが辛そうだ。馬上の相撲取りは筋骨隆々の体躯をしている。前方に目を向け旅を楽しんでいるようだ。河口周辺の松林、穏やかな相模湾の海が落ち着いた雰囲気を醸し出す。対岸の大きなせり出す岩山が単調さを救っている。

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                                       (C) Katumasa Ohbayashi