藤川:(棒鼻ノ図)棒鼻とは宿場の出入り口のことである。画面やや中央に細長い杭が立てられている。左には関札が立てられている。右手の行列の黒と茶の馬に御幣が立てられている。幕府から朝廷へ馬を献上する「八朔御馬献上」の行列である。左手にはこの一行を宿場の役人が平伏して出迎えている。何か用向きを伝えにきた男に、右端の役人が顔を上げた一瞬を捉えている。三匹の犬がじゃれ合っているのが何とも緊張感の中にあってほほえましい。岸には数本の木が描かれ風景画らしさを感じさせる。犬は、日本橋にも描かれていた犬とよく似た描き方で、 円山応挙の流れをくむ描き方のようである。

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                                         (C) Katumasa Ohbayashi