京師:(三條大橋)五十三次の最終図。日本橋からの長い東海道の旅もここ京都、三條大橋で終着を迎える。下を鴨川、背後には東山の山々が描かれている。山の中腹には清水寺、その右下には八坂の塔、画面真ん中には青い屋根の双林寺、ずっと左端には知恩院が見える。麓には京都の街並みが密集している。一番後ろの茶色の山は、比叡山である。橋の上には、人々の行き来が描かれている。右端には、二人の行商らしい旅人、一人は菅笠に手をかざしている。番傘をさしている裃姿の武士、日傘を伴の下女に持たせる女性、被衣(かずき:顔を覆うベールの一種)をかぶった女性三人、欄干から川面を覗く菅笠の旅人。手前側に向けては、藁束を担いでいるように見える茶筅(ちゃせん)売り、槍持ちを先頭に長棒を担ぐ人足、馬、少し離れて駕籠に乗る主人と家来達の一行が描かれている。鴨川の流れを青と乳白色でうまく描き分けている。

(参考)本図の三條大橋の足杭は木製のようであるが、この当時は既に石の杭に換えられている。このことから、広重は実際には行ってはいないのではないかとも言われている。以前から論争になっている広重上洛否定説の重要な根拠の一つでもあるらしい。最近、浮世絵研究家の鈴木重三氏が「保永堂版広重東海道五十三次」(岩波書店)で詳述しているとのこと。 (H16,1,26 asahi.comより)

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