府中:安部川の川渡りを描く。対岸の山は賤機山(しずはたやま)。女性三人の三様の渡り方が描かれていて面白い。手前から、肩車、駕籠、梯子状の輦台(れんだい)である。供の者と思われる男の羽織には丸に竹の字が見える。対岸からも荷を積んだ馬と三人の人足、手紙を入れる箱を持つ飛脚、客の荷物を頭に載せる人足と旅人、手引きの人足と旅人。女性三人の顔の白さが男たちとはずいぶんと違って際立つ。。ネットの画面でははっきりせず味わえないが、それぞれの人物が優しい眼差しで表情豊かに描かれている。じっと見ているとなんだか本図の人々と描いた広重に親しみを感じてしまう。

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                                       (C) Katumasa Ohbayashi