関:(本陣早立)参勤交代で、大名達が宿場で宿泊した本陣を早朝に出発するところを描いている。早朝とはいえまだ空は暗い。白地と赤字の幕が大きく張られている。奥には足軽が大名の出を待っている。足軽の持った提灯には「ヒロ」の紋が見える。左手前には縁側に立つ大名と御用の提灯を持った宿の主人が何かこれからのことを話している。三人の足軽が菅笠をかぶり待機している。右側には青竹に付けられた大名の名を記した関札が立てられている。本陣は商家らしく、軒先に「仙女香」「美女香」等の宣伝札が掲げられている。人物を手前と奥の二手に分け巧みに描き、変化を持たせている。
やや離れた視点で出立の様子を丁寧に描いている。幕の定紋の青色が白地に映える。腰をかがめた主人の右手の人差し指に人間同士の生のやり取りが感じられる。

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                                      (C) Katumasa Ohbayashi