戸塚:吉田橋の袂の宿場を描く。流れる川は柏尾川。道標は「左かまくら道」とあり、鎌倉道と東海道との分岐点。茶屋にはまさに馬から降りようとしている旅人が動的に描かれている。手、足の格好が面白い。縁台に乗っているかのように見えるのは広重の演出か。広重には静的イメージがあるが、一部に動的要素が巧みに描かれているところがある。まさに瞬間を捉えた写真のシャッターチャンスにあたる。茶屋の軒先には「大山講中」などの講札がたくさんぶら下がる。大山詣では、五穀豊穣、家内安全、病気平癒を祈ったか。橋の上には人のよさそうな老人がこちらをやさしい目で見ている。版元の朱印が瓢箪型になる。次は藤沢

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                                           (C) Katumasa Ohbayashi