小田原:箱根の険しい山々を背景に遊女らしき女性を描く。箱根の山は実景をそのまま描かず、色彩に特に変化を持たせている。当時流行した西洋風的描法の影響がうかがえる。箱根の山の前には、淡い空色の小田原城、街並みを描く。女性の衣服の色合い、模様も変化に富んでいる。動物の図柄が描かれている帯は目を引いたであろう。本図は全体的に色彩が豊かで英泉の意気込みが感じられる。左手で裾を持ち上げてしなを作っている。裾、襟、袖にちらっと緋色を見せる。句は、「見るもののみな眼につくや春の山」
(C) Katumasa Ohbayashi