三嶋:広重描くところの三嶋神社の朝霧の図とよく似る。鳥居の前で旅人の朝の出立を描く。一番後ろに描かれている木々のシルエットは、広重の三嶋と英泉の川崎の描き方と同じである。(今解説を書きながら女性と背景との間の仕切りとして紫雲を描いているのに気づく。今までの浮世絵全部そうである。)女性の櫛の長さに眼が留まる。着物の細かい模様、色合いに地味ながら垢抜けしたものを感じる。両手で褄を持ち上げているのにも、品のよさが漂う。足の無理な格好には英泉の趣味の一工夫、こだわりが覗く。句は「霧寒く有明にけり社の灯(ひ)」
(C) Katumasa Ohbayashi