白須賀:宿場は汐見坂の下にあり、白須賀と言えば、汐見坂あたりを描くのが普通だが、英泉は広重の「藤枝」と同じく問屋場の風景を描いた。問屋場の様子がかなり詳しく描かれている。荷物を運ぶ人足、高座の事務方、ちょっと威張った役人、腰をかがめて役人のご機嫌を取る商人、馬と馬喰・・・。
盥で洗濯をしている宿場の女は、高下駄を椅子代わりに腰掛けている。渋い茶と薄い青の縦縞模様の着物が質素な庶民生活を表している。頭に被った手拭いの青の花びらが美しい。黒の帯も目を引く。けなげに日常を生きる女性に心惹かれる。仕切の雲は灰色になっている。

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                      (C) Katumasa Ohbayashi