吉原:左富士として有名な図。東海道を京都方向へ進むと富士山は右手に見えるのが普通だがここだけは例外。馬に乗っている子供三人の後姿を描く。左二人の子供は富士を見ているが、右の子供は眠っているようだ。しかも赤富士。馬がほとんど道幅いっぱいにデフォルメされている。馬の一方通行のようだ。どっしりとした馬だ。街道沿いには松並木が続く。松並木は防風、防砂、日陰、道標の役割を果たしていたらしい。松の根元の草の形が丸くて面白い。ウニをひしゃげたようだ。「原」の宿の道端の草の描き方と似ている。道の前方に旅人を小さく配しポイントとして効果的である。

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                                        (C) Katumasa Ohbayashi