日坂:かなりデフォルメされた急坂に目を引かれる。難所で有名な小夜の中山。45度以上もあろうかと思われる急勾配。地元の木こりと編み笠をかぶった旅人との動と静の対比が面白い。画面中央下の大きな丸い石を旅人がじっと見つめている。「夜泣き石」と呼ばれている。妊婦が何かのことでこの石のそばで殺されたが、赤ん坊は産まれる。死んだ母の霊が、この石に乗り移り、子を慕うあまり夜泣き石となる。石には、「南無阿弥陀仏」と刻まれていたという。松の形、特に根元が妙に怪しく思えてくる。

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                                     (C) Katumasa Ohbayashi