掛川:(秋葉山遠望)二瀬川に架かる大池橋の人々の様子と右に火を防ぐ神様で知られる秋葉山を描く。本図は、広重の絵筆に意欲が感じられる。まず目を引くのは、画面上部をはみ出した赤い凧。原の宿では富士をはみ出させている。糸が切れて秋葉山に向かって飛ぶ凧も効果的。切れた糸に動きが感じられる。橋の上には左隅から僧侶が大きな扇子を持ってこちらに渡ろうとしている。腰をかがめて僧にお辞儀をする旅人が渡る。手前には凧を飛ばしてしまったらしい子供の手の動きが面白い。橋の脇には二基の灯籠が描かれ変化を持たしている。色、大きさに違いを見せている。田圃では農夫たちが田植えに精を出している。凧揚げはお正月の行事であるが、この地方では、田植え時期にも揚げる風習があったらしい。

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                                     (C) Katumasa Ohbayashi