袋井:いかにものんびりした田舎の街道の好風景。街道の途中には、旅人が一休みするこういった簡素な茶店が大きな木陰を利用してあった。土盛りしたかまどには実に大きな薬缶が木からぶらさげられている。店番の女が火を見ているそばで、駕籠かきが煙草に火をつけている。もう一人は草履に手をやって休んでいる。縁台には腰を下ろして旅人が一服しながら顔を横に向け何かを見ている。右側には尾長の小鳥が止まっている立て札(関札)、袋井の宿場の家並みを描いている。かまどからは白い煙がくすぶって昇る。田圃の中央には牛を引く農夫が見える。広重の写欲が感じられる図。

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                                     (C) Katumasa Ohbayashi