舞坂:(今切真景)浜名湖は舞坂と荒井まで砂州で繋がっていたのが、明応の大地震で砂州が決壊して、遠州灘と海続きになってしまった。それで今切と言う。しかし本図に描かれている実景は存在しないという。中央の富士山まで続く山々は、広重の創作に依るもの。遠州灘を左に見て、手前が舞坂側だとするとどうしても富士山は見えないはず。舞坂と対岸の新居までは約4キロある。渡しの景色と言うよりも殆ど海岸線風景と言っていい。しかし、舞坂側の波よけの木の杭、右側の筵の帆、幼い松を画面下に描いていて副題の今切真景となる。次の新居の図の方がより渡しの風景らしい。

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                                        (C) Katumasa Ohbayashi