荒井:(渡舟ノ図)舞坂側から荒井(新居)への今切の渡しを描く。前を行く帆かけ船は、大名が乗っている船とわかる。幕の囲い、二本の白い槍、勢いよくはためく吹き流し等、特別のしつらえである。手前の舟には船頭と赤い上着の助手が、一所懸命に漕いでいる。雑役の男たち(中間・・ちゅうげん)が、居眠りしたり、大欠伸している様子が描かれている。荒井の船着き場の右の建物は厳しさで知られる関所。特に女性の取り調べは厳しかったらしい。そのために濱松から東海道をそれて浜名湖の北側の道から御油に入るルートがあった様だ。姫街道と呼ぶ。大名舟と後に続く高瀬舟の進行する角度、高瀬舟の舳先の筵で大名舟を遮っているあたりに、変化、臨場感が感じられる。

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                                         (C) Katumasa Ohbayashi