赤坂:(旅舎招婦ノ図)当時の旅籠屋の内部の様子が生き生きと描かれていて興味を引く。当時の庶民もこの図を見てなるほどとうなずいたであろう。左手にはお客の様子が描かれている。縁側には一風呂浴びた男が片肌脱いで手拭いを肩にかけ、部屋に入ろうとしている。部屋では煙草を吹かしながら男が寝そべってくつろいでいる。女中が食膳を運んでいる。隣には按摩がご用はありませんかと声をかけている。隣の部屋に赤い提灯が見える。「御用」とある。今で言う郵便屋さんが休んでいる。奥には二階建てだとわかる階段。手拭いにはヒロの図柄が描かれ、広重の宣伝。右手の部屋では飯盛女が化粧に忙しい。遊女の代わりもした様だ。中庭には青い万灯籠と蘇鉄が不思議な雰囲気を漂わす。

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                                          (C) Katumasa Ohbayashi