鳴海:(名物有松絞)鳴海から約1里のところに有松村があった。有松絞の産地として有名。鳴海絞りとも言われ全国的に有名だった。本図は、有松絞を商う染物屋が二軒描かれている。実に立派な店構えである。二階建ての店の隣には蔵の端が見える。一階の軒の屋根には軒看板が置かれている。有松絞りの需要が多かったかがわかる。手前の店には客が店のものに藍色の染め物を勧められている。暖簾には広重の「ヒロ」の紋とネットでは判然としないが、暖簾の右に竹内、左に新板の文字が見える。版元の保永堂を宣伝してい。街道には、女性ばかりの旅人描いている。徒歩、駕籠、少し離れての馬と旅のバリエーションを網羅している。女性ばかりを描いたのは有松絞が女性に人気があったことを意識してのことだろう。道幅をかなりゆったりと描いているのが印象的。街道の配色に青を使っているのも広重の工夫。有松絞にちなんだ松が多く描かれている。

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                                        (C) Katumasa Ohbayashi