水口:(名物干瓢)水口(みなくち)は葛籠(かずら)細工と干瓢(かんぴよう)で有名な宿場。本図は、干瓢作りに精を出す農家の主婦と二人の娘の様子を描いている。主婦は筵を敷いて大きな夕顔の実をまた板の上でむいている。わずかに緑の皮を残して描いている。赤ん坊をおんぶした娘は母に渡すため手に夕顔の実を持って待っている。もう一人は張り巡らした縄にむいた干瓢を干している。反対の民家では垣根を利用して干瓢を干している。真ん中の大きな木の脇を、暑いらしく上半身を脱いだ腹掛け姿の旅人が棒に荷物をくくりつけ通り過ぎて行く。庶民の生活が温かい眼差しで描かれている。何かほのぼのとさせられる作品。

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                                       (C) Katumasa Ohbayashi