大津:(走井茶店)茶店の前を荷物を積んだ牛車が通り過ぎ様としている。先頭には米俵が10俵あまり積まれている。後に続く二台の牛車には薪がうず高く積まれている。荷車を引くのはどうも牛の方が力があるためであるようだ。牛には青い日除けが掛けられている。五十三次にも馬は登場し荷物、人を運んでいるが、すべて馬上、馬腹である。茶店の前には、勢いよく水が流れ出している湧き水(走井)が描かれ、脇で魚の行商人が魚を冷やしている。赤いおべべの子供が手を伸ばしてその様子を見ている。茶店では、奥の座敷に今着いたばかりの旅人が腰を下ろして荷物を降ろそうとしている。入り口には店に入ったばかりの女性二人連れの巡礼。右手には二軒の民家とぼかし気味の逢坂山が描かれている。のどかな街道風景である。あと少しで京都である。

浮世絵目次  五十三次9  home   next 

                                         (C) Katumasa Ohbayashi