吉原:左富士で有名な松林の街道をバックに美人が思案に耽っている図。黄色い大風呂敷に包まれた布団に寄りかかり、手には文入れを持ち、左手を額に当て思い悩んでいる様子が色っぽい。文入れに覗く赤が妙に気にかかる。足元にはねじられた手紙が置かれている。添えられた句は、「筆染める思いの種よ春けしき」 宿場の女性というより、上品さを漂わせた女性が恋に悩む図と見た。原画の衣服の模様は実に美しい。

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                   (C) Katumasa Ohbayashi