蒲原:まず目を引くのは、茶色ががった暗い赤銅色。左側の茶道具の調度、背景の山々、その手前の蒲原の宿の家並み、女の帯、かんざし、木々等に彩色している。女性の衣服は、藍色の市松風模様、前垂れには、薄水色の地に白抜きの蜘蛛の巣模様をあしらっている。上掛けなのかはっきりしないが赤字に白抜きぼかしの大柄な朝顔らしき花が、青が主体の衣服の中にあって効果的。茶道具入れの斜めに竹の桟(さん)が面白い。山は幾重にも赤銅色と青とのモザイクで彩色している。描線は英泉が好んで用いた太いライン。女の足の格好にはやはり英泉の趣味が覗く。句は「すずしてや山を日除けの軒ならび」

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                    (C) Katumasa Ohbayashi