金谷:眠いのを起こされて、むずかる子供におしっこをさせている母親。子供の泣き声が聞こえてくるようだ。赤ん坊にしてはずいぶんごつい手足だ。右手で母親のあごに手をやって抵抗している。母親は鶴をあしらった浴衣を着ている。足を甲高く描くのは英泉の独特な好み。手、足の指にも表情、動きを与えている。背景は大井川の河渡りを嶋田宿から金谷の宿を描いている。大井川の河渡りは有名な難所の一つ。手前に川を渡る人々、向こう岸には金谷の宿、牧ノ原台地の山々を描いている。山並みを太い稜線と色彩に変化をつけて力強く描いている。添えられた句は「川越して夏の高き山路かな」

浮世絵目次  渓斎英泉5  home   next

                    (C) Katumasa Ohbayashi