神奈川:川崎から二里半。街道は高台になっていて海に臨み、神奈川の台といい、風光明媚な地として有名。宿場街道茶屋をバックに美人が手紙を読む図。梅にこぼれ松葉をあしらった鼠色の衣装はやや年増茶屋女か。手紙を読みつつ思いにふける様子が腕組みに現れている。手紙を包んだ封筒が無造作に置かれ、封筒の先が少しめくれている。宿場の鳥居は浅間神社か。本牧岬がかなり近くに見える。添えられた句は「涼しさや心に浴びる波の音」とある。波の音を聞きながら恋に思案する女と見た。

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                     (C) Katumasa Ohbayashi