石薬師:(石薬師寺)秋のもの静かな田園風景。田んぼでは秋の収穫を終えた農夫が、何か後片づけの農作業をしている。稲叢(いなむら)が点々と見える。あぜ道を天秤棒で荷を運ぶ人足が、石薬師の山門を目指している。山門の前を馬に乗った旅人、馬子、徒歩の旅人が過ぎようしている。山門をくぐって右手に本堂がある。寺は聖武天皇の神亀年間に創建され、本尊は空海が彫ったと伝えられる薬師如来であるとされる。右手には宿場の家並み家並みが点在する。奥の三重の山々が全体を重厚なもにしている。色を違えて変化を出している。丈の高い杉の木も効果的に配されている。晩秋の日本的情感が漂う。

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                                        (C) Katumasa Ohbayashi