亀山:ほとんどモノトーンに近い雪景色の亀山城及び斜面の下にたたずむ家並みを静寂の中に描いている。左端の淡い朝焼けのピンクが空に映えて美しい。斜面を登る大名行列をわずかに覗かせ、アクセントにしている。直立した中央の松が、左下から右上にかけて立ち上り亀山城を押し上げているように見える斜面を、一層鋭角に見せるのに効果的。この斜面の構図は広重が好んだものと思われ、傑作の蒲原、庄野・・・と共通しているものと思われる。それにしても亀山城を脇役のように描く大胆な構図である。対角線左斜め半分の家並み、ピンクに染まる空などの穏やかさと対角線右半分の急峻な斜面の景色の対比が面白い。本図を見ていると何かしら、、生きる希望のようなものが湧いてきて、好きな1枚である。

浮世絵目次  五十三次8  home   next 

                                         (C) Katumasa Ohbayashi